黒い文字盤に、白い数字。フレームもガラスもない。ブラウンの壁掛け時計 BC06。
息子の部屋に掛けて、3年になる。壁掛け時計に求めるのは3つ。部屋に馴染むこと、パッと見て時刻がわかること、無駄を削ぎ落としたデザインであること。これが意外となかったりする。

シンプルで見やすい時計を探していて、ずっと気になっていたのがこれだった。1982年に登場して、MoMAの永久展示品にもなっているABW30を下敷きにしたモデル。
文字盤は真っ黒で、装飾は一切ない。これ以上削るものがない、という潔さ。
ガラスがないから、光が映り込まない。どの角度から見ても、時刻がすっと読める。子供たちも「見やすい」と気に入ってくれてる様子。理由はたぶん、この反射のなさだ。
正直、最初は「ガラスがないのってどうなんだ?」と少し不安だった。でも使ってみると、これが便利。時刻合わせは、壁に掛けたまま指で針をクイッと動かすだけ。今までの、壁から外して裏のつまみを回す面倒は何だったのか。時計を触って合わせる、というアナログな感覚も悪くない。
もっとも、ほとんど合わせたことがない。電池もまだ一度も替えていないしな。

直径20cm。小さすぎず、大きすぎない。
部屋に溶け込んでいるのに、ふと目をやるとちゃんと視界に入ってくる。主張はしないけど、存在感はある。真横から見ると、針がむき出しで驚くほど薄い。

ブラウンのデザイン哲学「Less, but better(少なく、しかしより良く)」をそのまま形にしたような時計。
見た目のミニマルさに惹かれて買ったけど、使い込むうちに、その“引き算の美学”にどんどんハマっていった。派手さはない。でも、必要なものだけが残っている。その潔さがカッコいいんだよな。
息子の部屋に掛けてから、手をかけたことはほとんどない。それでいて、子供たちは今日もこの時計で時間を見てる。何も足さなくていい。そういう時計。
ちなみに、俺の部屋はセイコーのバス時計、リビングはリキクロック。気づけば、部屋ごとに時計が決まってた。
※そして、1年後、この時計は2台になった。